睡眠時無呼吸症候群
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睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
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睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、眠っている間に呼吸が何度も止まる病気です。
無呼吸とは、10秒以上の呼吸停止を意味し、1時間あたりに何回呼吸が止まっているか(AHI)で重症度を評価します。
多くの場合、患者本人は気づいておらず、「家族からいびきを指摘された」「日中に強い眠気がある」といった周囲の気づきで発見されることが多いのが特徴です。気づかれにくい理由
SASは、眠っている間に症状が現れるため、自覚症状が非常に乏しい病気です。
「いびきは昔からだから大丈夫」「疲れているだけ」と見過ごされ、治療が遅れるケースが少なくありません。
また、睡眠の質が落ちていても「慣れてしまって気づかない」方も多く、日常生活に支障が出るまで放置されがちです。
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SASの3つのタイプ
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閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)
上気道(空気の通り道)がふさがれて起こる。SASの約9割を占めます。
中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)
脳からの「呼吸しなさい」という信号が出なくなって呼吸が止まるタイプ。心不全や脳の病気に関連することがあります。
混合型(複合型)
上記2つが同時に起こるケース。
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閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)とは
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OSASは、眠っている間に空気の通り道(上気道)がふさがれることで呼吸が止まる病気です。
特に舌の付け根や軟口蓋(のどの奥の柔らかい部分)などが、睡眠中に緩んで気道を塞ぐことが原因になります。
人は眠っている間、全身の筋肉がリラックスします。のどの周囲の筋肉(咽頭周囲筋)も例外ではなく、仰向けに寝ていると重力も加わり、気道が狭くなりやすくなります。
そこに肥満、扁桃肥大、顎の小ささなどの解剖学的要因が加わると、気道が完全に閉塞し、空気が肺に届かなくなります。呼吸が止まるメカニズム(OSASの場合)
睡眠中、筋肉の緊張が低下すると、舌や喉の奥の組織が気道を塞ぎやすくなります。
この状態では、胸は呼吸しようと動いていても、気道が閉じているため空気が通らず、呼吸が止まった状態(無呼吸)となります。
すると、血液中の酸素濃度(SpO₂)が低下し、体は危機と判断して自律神経を介して脳を一時的に覚醒させます。
覚醒と同時に筋緊張が一時的に回復し、気道が再び開くことで呼吸が再開されます。
しかし、呼吸は戻っても、深い睡眠が妨げられている状態は変わりません。
この「呼吸停止→覚醒→再び眠りかける→また呼吸が止まる」というサイクルが、一晩に何十回、重症の方では数百回も繰り返されるのです。
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睡眠の質と健康への影響
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このような状態が続くと、睡眠の質が大きく損なわれ、日中の強い眠気、集中力の低下、倦怠感、頭痛などが生じやすくなります。
また、慢性的な酸素不足と睡眠分断によって、以下のような疾患のリスクも高まります。- 高血圧
- 心筋梗塞、不整脈
- 脳卒中
- 2型糖尿病
- うつ症状や認知機能障害
- 居眠り運転や労働事故(健常者の約7倍とも)
まとめ
睡眠時無呼吸症候群は、単なる「いびきの問題」ではなく、全身の健康と命に関わる疾患です。
なかでも最も多くみられる閉塞性タイプ(OSAS)は、構造的な原因がはっきりしており、正しく診断・治療を行えば、症状の大幅な改善が可能です。
「いびきが大きい」「日中眠くて仕方がない」「朝起きてもスッキリしない」
そんな方は、一度、睡眠の質と無呼吸の有無をチェックしてみることをおすすめします。